iPadに見るアップルの巧みな販売戦術

みなさん、iPhone4の予約はもう済みましたか? iOS4は本日6月21日リリース。アップルファンにはこれから忙しい日々になりそうですね。iOS4インストール完了とiPhone4到着までの時間潰しにこちらをどうぞ。

スティーブ・ジョブズは最新インタビューで「iPadの構想はiPhoneよりも先だった〜」と発言しています。恐らく、緻密に練られた計画があったのでしょう。実際に「そうだろうな」と感じる部分がいくつかありますので、ここでは、ジョブズの思考シミュレーションをしてみました。えっ? あとからならなんとでも言えるって? まあ、ふみへんのメモということでお付き合いください。

●iPadは決して新しいものではない
ネットブックに参戦しないのか?との質問にジョブズはこう回答しました。「(アップルは)値段を下げただけの低スペック製品を作ることはしない」。iPhoneの登場するずっと以前のものです。そして、ただのタブレットの枠を超えた新しいデバイスが完成しました。

iPadのような、タッチパネルを採用したタブレット型PCは、実はほかにも存在します。2000年を皮切りに富士通、HPやIBMをはじめ多くのメーカーより販売されています。
Windowsをベースとしており、入力インターフェイスとしてタッチペンを取り入れたものが主流でした。しかしながら、本格普及には及ばず、使用も企業のみと限られていました。

●iPod touchの功績
より強固なOSを搭載することで音楽再生だけではないユーザーエクスペリエンスを提供できる……アプリケーションへ対応したiPod touchから、この壮大なプロジェクトが始まったのではないでしょうか。
touchやiPhoneの、このサイズの惜しさは、画面の物理的な狭さによるブラウジングの悪さです。Safariを搭載しているにも関わらず、携帯の域を抜け出せないのがもどかしかったのです。少なくとも私は、外出先でのWWWのアクセスをメインの目的としていました。

● iPadがiPhoneよりも後になった理由
前述の通り、タブレット型PCの普及率は低かった訳です。ノートが小型化した、いわゆるネットブックが主流な中、タッチパネル採用の製品は携帯電話ですら世の中になかなか理解されませんでした。つまり劣勢。いきなり発表しても誰にも理解できないだろうiPadを、世に出すためにはなにが必要か? 行き着いた解答は、「より多くの一般の人々が興味を持つ携帯電話、スマートフォンの市場に参入し、まずはアップルの製品に着目してもらうこと」。
そう、世の中に浸透したiPod touchの筐体を利用できます。もちろん、サイズは違いますが「あのiPod touchが携帯になるらしい」、こんな話ならちょっと試してみたいと思う人も多かったはず。実際に2010年5月の国内調査では同様の理由で買い替える女性が増えているのだそう。

●注力したポイント
ノキアなどのタッチパネル採用携帯電話は決して売上が良いとは言えませんでした。むしろ、ほかの携帯と販売台数はほとんど変わらず、量産コストだけが上がったことからほぼ惨敗だと考えられていました。
先行するノキアのスマートフォンやブラックベリーになにが足らなかったのか?
二つです。ひとつはOS、そしてもうひとつは「なにができるのかよくわからなかったこと」でしょう。しかし、スマートフォンもそうですが、徹底的に一般向けの携帯電話を研究したように思います。そして、その後の快進撃はみなさん御存じの通り。

少なくとも国内でiPadがiPhoneの台数を超える可能性はそれほど高くありませんが、先に発表してもこれほど話題にはならなかったでしょう。つまり、iPadの好調な売れ行きはiPhoneが牽引したものなのです。
一部の評論家の方々は「運がよかっただけ」としていますが、私はリリースタイミングを緻密にコントロールしたように思います。そして、製品としての価値、魅力。
宣伝や魅せかたで、同じような製品がこれだけ輝いて見えるのですからスゴいな、と。先行する商品群の何がダメなのか、しっかり捉えています。にも関わらず、まったく新しいデバイスに見えるのはディテールへのこだわり。
そして触れることしかできないからこそ「誰にでも理解できるインターフェイス」に徹底的にこだわったタッチパネル。『ものづくり』の本質がうかがえます。僕も頑張ろうっと。

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